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9章
ダイアトニック進行の実例
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終止形、同機能コードの連結、終止形の逆進行を見てきまし
た。各々が理解できれば、それらの知識を駆使して音採りも楽
になるでしょうし、さらに自分なりのパターンだって作れるは
ずです。
理解をさらに推し進めるために、メジャー/マイナーキーの
代表的な進行パターンを紹介することにします。
譜例:メジャーキーのダイアトニック進行例
● 音で確認=非対応メニューです
4度進行を多用したパターンです。いきなりIIm7から始まり
ますが気にしないでください。V7から代理トニックIIIm7へ
偽終止し、サブドミナントIV6へ。これはサブドミナント終止
の逆進行パターンでしたね。で、I6。やっとトニックが出て
きました。トニックからはどんなコードへも行けますから、こ
こは適当にVIIm7-5を選びます。ここからはずーっと4度進行。
ちょっとマイナーを感じさせる代理トニックの連続IIIm7→VIm7
からサブドミナント→ドミナントのIIm7→V7。サンプルはこ
こで終わっていますが、このあとトニックのIへ進めばツー・
ファイブ・ワンの進行になりますね。
以上、ダイアトニックコードを全部使用したパターンです。
譜例:マイナーキーのダイアトニック進行例
● 音で確認=非対応メニューです
ちょっと長いですが、順を追って分析してみましょう。最初
の4小節は代理コードをおりまぜながらT-SD-T-Dと流
れます。1小節目からのダイアトニックスケール下行パターン、
また3、4小節のbVI→V7と半音でドミナントにアプローチ
するパターンは定番です。次の4小節は最初の4小節のラスト
が代理トニックに変わったもの。さらにここからIIm-5へ半音
でつなぎ、ドミナントからbVIへ偽終止。次のVIm-5はちょっと
ズルい部分で、ふだん使わないメロディックマイナースケール
から持ってきたコードです。その次はもっと卑怯で、Im7の7
度ベースのオンコード。これは10小節目からのベースの順次的
な半音上行の文脈を引きずった流れです。このようなコードの
転回は、主にベースラインを滑らかにする目的で使われます
(オンコードについてはまた詳説します)。
以上、終止形他、コードの連結法則を踏まえてダイアトニッ
クコードの進行パターンを紹介しました。もちろん、これはほ
んの一例に過ぎず、連結可能なパターンはまだまだあります。
自分でパターンを作ってみると理解はさらに深まります。耳を
頼りに、気持ちいいパターンをいろいろ模索してみるといいで
しょう。
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締め&予告
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今月はここまでです。
コードというものが、単独ならともかく、「進行」するよう
になると、機能やトーナリティを明らかにするなどの面からも、
どうしても度数で考える必要があります。これによって余計に
ややこしいことになりますが、がんばってこの考え方になじん
でください。面倒に思えても、結局これがコード理解の一番の
近道なのです。まあスケールがわかっていれば大丈夫かな?
今回も重要用語がたくさん出てきました。本編とは別に、検
索の便利な用語集みたいなものも作った方がいいかもしれませ
んね。
ダイアトニックコードはコード進行の基盤となるものですが、
ひとつのトーナリティの範囲内から抜け出せないため、実際に
これしか使わない作曲では、どうも曲が単調になりがちです。
次回はそんな世界から脱却する第一歩として「ノンダイアト
ニックコード」を見ていきましょう。題して「松本さんの音づ
かいの秘密に迫る!(仮)」。ウソです。
(EOF)